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小さな生徒たちならではの、
緊張感漂うレッスンが好きです。
お母さんの監視下にあるからでも、
怖い先生に叱られるからでも、
そんな理由でもなく、
自ら醸し出す空気。
たった30秒程の奇跡的な瞬間。
袖から丁寧に歩いてきて、
椅子の高さをサッと調整。
左側から腰を掛け、
肩の力を抜き一呼吸。
鍵盤との距離は近すぎない？
遠くない？
膝に置いた小さな手のひらを
フワッと鍵盤にそえる。
さて、
今日のご機嫌は？
どんな音を出すの？
本人は上手くできるかドキドキ。
お母さんは、
間違えずにできるか
息をするのも忘れて見守っている。
私はただただ、
心の中でエールを送り続ける。
緊張感でいっぱいのこの空間は何色？
テクニックとは無関係
必要ないなんて思わないで！照
颯爽と登場して
美しいフォームでお辞儀したら、
それだけで「おっ！！聴いてみたい！！」
そんな魔法がかかる
貴重な瞬間。
おませな男の子は
ちょっと気だるそうに
ピアノに向かってきて、
ドシッと座ってみせたり、
女の子はどこで覚えてきたのか
腰を振りながら歩いてきて、
スカートをフワッとさせながら
腰掛けるわけです。
「先生もやって見せてよ！」と、
やっぱりリクエストされる。
タジタジ……になりながら披露。
【何が正解なのかな？】
凝り固まった頭を必死で使い、
冷や汗をかく貴重な愛しい時間です。
みなみ
